万華鏡

例えばそれがまやかしだとしても

42.195kmのその先へ…

人はよく人生をマラソンに例えます。
2015年10月25日、わたしもそんなことをぼんやり頭の中にちらつかせながら無我夢中で自担の名前を沿道で叫んでいました。

3人が大阪マラソンに出場するという一報を受けてまず頭をよぎったのは、大丈夫かな…?と言うことでした。
落ち着いて改めて考えてみても濱田くんに持久力があるようには見えません。最近はとんと見る機会はありませんが、昔はスタミナ切れのバテバテ姿を目にすることも少なからずありました。筋肉はあるけれど、あの薄い身体と細い脚、どう見ても短距離派です。個人的には、高跳び、幅跳び、ハードル走なんか見てみたい(笑)濱田くんは腰や脚も痛めやすいタイプなのに、果たして42.195kmも走り切ることが出来るのだろうか…?失礼ながらそんな不安が真っ先に頭をよぎりました。とはいえ、淳太くんよりは遅れはしても何だかんだ濱田くんも目標タイム内に完走出来るはずだろうと確信めいた自信を抱いていました。この時は。
淳太くんは経験者ということで不安よりも期待の方が大きかった。前回淳太くんがランナーとして走った際にも応援に行ったので、笑顔で手を振る余裕な顔の淳太くんも、脇目も振らず必死に走る淳太くんも見ています。初出場で好タイムを叩き出した淳太くんが、負けず嫌いでプライドの高い淳太くんが、有言実行の淳太くんが、数年前の自分の記録に負けるはずがないのです。淳太くんが目標タイム内に完走する、わたしにとってそれはもう決定事項のようなものでした。
神ちゃんは大阪マラソン出場の発表の時点で既に膝を壊していました。初回の合同練習で負傷しているなら出場見合わせも視野に入れるべきでは…と正直思いました。だって!神ちゃんはアクロバットが得意です!マラソンのせいで、神ちゃんのセールスポイントでもあるアクロバットに支障が出てはいけないのです!とわたしの中のモンペおばさんが神ちゃんの身体を心配し騒いでいました。でも、神ちゃんも一度決めたことはやり通すひとです。弱音を吐かない男の中の男です。例え膝が限界をむかえても神ちゃんはきっとゴールすると信じていました。

そしてマラソン当日、人が多くてスタートを見逃してしまったわたしたちが、走る濱田くんの姿を初めて目にしたのは淀屋橋の往路でした。神ちゃんは見られなかったけど、淳太くんも濱田くんもわたしが想像していたよりも余裕がないように見受けられました。声援に耳を傾け小さく反応したりはしていたけれど、それよりも前へ進むことの意思を強く感じました。真剣な顔に「かっこいい」とつい言葉が漏れてしまいます。しかし、向かいの復路に移動し淳太くんが通り過ぎ、しばらく経っても濱田くんが見当たりません。わたしたちはスタートで見失ったという前科があります。もしかしてまた見失った?とオロオロしているとやっと濱田くんが見えました。明らかに淳太くんとの差が開いています。足をかばっているのでしょうか、ランニングフォームがおかしい。濱田くんを見届け、一抹の不安を抱えながら次のポイントへ移ります。

次のポイントでも折り返し地点があったので復路から往復を見ることにしました。淀屋橋からはかなり距離があるので待つのは覚悟していましたが、淳太くんが通り過ぎしばらく経っても濱田くんの姿が見えません。やはりペースがかなり落ちているのでしょうか。Twitterや京セラドーム付近にいる友達からは、濱田くんが歩いているとの情報が飛び込んできます。心配で心臓がチクチク痛みます。でも腐っていてもしょうがない!その間も他のランナーは走っているのです!目の前を一生懸命走るランナーにみんなで声援を送っていました。すると、濱田くんのファンだと気付いたランナーの方々が走りながら濱田くんのことを教えてくれるのです。息を上げながら走って辛いはずなのにわたしたちに濱田くんのことを教えてくれるのです。そんなことってありますか?正直ジャニヲタなんてアウェーな場所ではきっと迷惑がられるんだろうなと思っていたので、気に掛けていただいて嬉しくて嬉しくて感動してしまいました。その時、応援するということも大阪マラソンに参加することなんだと改めて思いました。歩いている姿を見たら泣いてしまうかもしれない…と弱音を吐いていると、スピードは落ちていましたが風を切って走る濱田くんが登場し、ホッと胸を撫で下ろしました。と同時に、この時に目標タイム達成は不可能だということ、そして完走がいかに難しいかということを再確認しました。

濱田くんのペースが予想以上に遅れていたので、回る応援ポイントをいくつか増やすことも考えましたが、どうしても行きたい場所があったのでその場所を最後の地へすることにし、2時間程待ちました。わたしたちが着いた頃には既に淳太くんが通過した後。それからしばらくして淳太くんが無事ゴールしたという一報を受けました。目標タイムも前回タイムも切れなかったけれど、淳太くんは一番タイムに拘ったし、約束を果たそうと頑張ってくれた。悔しい、顔向け出来ない、情けない、って淳太くんは言うけれど、もっと自分のことを誇りに思って欲しい。責任なんて感じなくていいんだ。でも、妥協出来ないし、人にも自分にも厳しいのが淳太くんだもんね。淳太くんのそういうところが好きです。
淳太くんがゴールし安心したと共に、濱田くんと神ちゃんは完走出来るのだろうかと次の試練が頭をよぎりました。想像以上の遅れ、そしてペースメーカーさんの姿を見るたびに予想タイムがはじき出され、不安が現実と近付きます。待っている間、濱田くんと神ちゃんの情報が入ってきます。どうやらもう濱田くんは走れない様子。そしてだいぶ差が開いていたはずの神ちゃんにも追い抜かれたようです。本当は今すぐにでも濱田くんの元へ駆けつけたかった。不安を抱えながら濱田くんと神ちゃんが来るのを待ち望んでいました。この場所でもたくさんのランナーさんに声援を送り、言葉を交わし、100人以上の方々とハイタッチをしました。あと○kmと聞いて絶望した方がいたり、今まで歩いていた方が声援によって走り出したり、改めて声が届いているということを実感しました。スタート付近で応援していた時は声を出すのが少し恥ずかしかったけれど、もう自然と声が出てしまいます。コンサートでも出したことないような声が勝手に出るのです。これには自分でもビックリ!おかげで早々に喉が枯れました。
どれくらい待ったでしょうか、遠くに神ちゃんの姿が見えます。わたしはこの日初めて神ちゃんの姿を見ました。競歩のような歩き方で神ちゃんは進んでいました。でもそれは弱々しい歩みではなく、一歩一歩力強く、前を見据えた神ちゃんの姿でした。もうとっくに限界をむかえているだろうに、重い身体に鞭打って声援に応える姿はわたしの思い描く最高にかっこいい神ちゃん像だったよ。故障からのスタートだったけど決して諦めることなくゴールだけを目指す神ちゃんはとても大きく見えました。神ちゃんの背中を見送り、それからずっと濱田くんの姿を探しました。またランナーの方から「はまちゃん見たよ」「はまちゃん頑張ってたよ」と何度も声を掛けていただきました。中には「はまちゃんと握手した!」とハイタッチのお裾分けをしてくれる方も(笑)みなさんきっとボロボロの濱田くんを追い抜いて来たのでしょう。全身全霊で前に進む濱田くんを見て何か感じるものがあったからこそ、こうしてわたしたちファンにもあたたかい言葉を掛けてくださるんでしょう。森脇さんも「はまちゃんもうすぐやで!」って声を掛けてくれてすごく嬉しかったです。森脇さんも3人のことずっと気に掛けてくれてたんだろうなあ。
そしてようやく目にした濱田くんの姿は、もうボロボロで痛々しくて気力だけで歩いている状態でした。わたしがセコンドならタオル投げてるよ。それでも声援に応えようとする濱田くんの姿は見ているだけで痛かった。声援なんて無視していい、笑顔なんて作らなくていい、もう足を止めたっていいと思った。もうやめて、もういいよ、もう十分だよ、って何度も思った。でもわたしの口は濱田くんの名前を呼び続けたし、「頑張れ」って何度も叫んでた。ファンも、濱田くんを知っているひとも、知らないひとも、みんなエールを送っていた。あんな顔で笑う濱田くんも、あんな苦しそうな姿の濱田くんも、今まで見たことがなかった。「頑張れ」って言葉が時に陳腐で時に残酷かちゃんと理解しているつもり。それでもわたしは「頑張れ」って、濱田くんに「頑張れ」って言いたかったんだ。例え限界を超えたとしてもどうしても完走して欲しくて、自分が無力で悔しくて、後ろ姿を見つめながら泣いてしまった。泣きたくなんてなかった。でも最後に見た濱田くんの姿は希望でした。前しか見てなかった。強いひとだなって改めて思い知らされた。

わたしの大阪マラソンの応援はここで終わりです。ゴールには向かわなかった。電車の中で制限時間ギリギリで神ちゃんと濱田くんがゴールしたと聞きました。わたしが最後に見た濱田くんはもう歩くのも精一杯で今にも倒れそうだったのに、ゴールまで走ったんだって。信じられない。なんてドラマティックなひとなんだろう。濱田くんが自分で自分を諦めかけた時、素敵な言葉で濱田くんを奮い立たせたサポートランナーさんに出逢えたこともきっと奇跡。ゴールに待っている人がいる。それがどれだけ前に進む力になるか、きっと濱田くんは知っている。信じて待ってくれている人がいる、それがどれだけ尊いことか、きっと濱田くんは知っている。マラソンは自分との戦いですが、メンバーと支えてくださったスタッフさんとファンの想いも一緒にゴールへ届けてくれたんじゃないかな。

一番の目標は完走、そして次に目標タイム内のゴール達成。目標タイムに届かないと悟った時、彼は自分の中できっと目標を変えたのだと思います。無意識に。笑顔と勇気を届けることに。濱田くんはきっと少しの自信を持って挑んでいて、でも想像を遥かに越えた道のりになってしまってすごく悔しいと思う。でも足を引きずりながら一歩一歩大事に前に進む濱田くんは世界一かっこよかったよ!

きっと大阪マラソンで初めてジャニーズWESTや濱田くんのことを知った方がたくさんいると思います。でもすぐに愛されて、真剣に走る3人を知ってもらえて、そんな仲間を持ったジャニーズWESTというグループを知ってもらえて、それだけでも大阪マラソンを走る意味はあったと思う。爽やかにスマートにゴールするのももちろんかっこいいけど、泥臭く一生懸命な3人の姿は、みんなに笑顔と元気と勇気を42.195km運んでくれたよ。
完走おめでとう!感動をありがとう!

ゴールをデビューと例えるならば、やっぱりマラソンは人生の縮図なのかもしれません。
2010年のクリスマスの松竹座、濱田くんがぐしゃぐしゃに泣きながら途切れ途切れに言った「人生は楽しいです。」今になってあの時の風景をふと思い出し、わざとらしく大阪マラソンへ重ねてしまうのです。